2010.07.26
誰かに向けたバースデーのデコレーションが施された像
シアトルのダウンタウンからユニオン湖に掛かる橋を北へ渡った場所にあるエリア、フリーモント。その街を歩けば、至るところにユニークなアート・インスタレーションがあることに気づく。
まず街の玄関口で迎えるのは「インターアーバンを待つ」像。インターアーバンとは、かつてフリーモントからダウンタウンまで通っていた路面電車だ。誰でも装飾自由(!)とされている5人の像の足元には人面犬が顔をのぞかせている。さらに共産主義の象徴、レーニンの像が大通りのど真ん中に立っていたり、冷戦時代のロケットがブティックの隣から天を仰いでいたり。車の往来の激しい陸橋の下では、北欧の伝説の巨人、トロール像が車を握りつぶしている。とにかく、そこらじゅうに、ジョークともメッセージとも取れる意味深なアートが……。
トロール像(写真上)/レーニン像(写真左)/ロケット発射台(?)となっているブティックの建物(写真右)
実はこのフリーモント、自ら「The Center of the Universe(宇宙の中心)」と公言している風変わりな街で、自然を愛し世界平和を願うヒッピー精神を持つ人々が好んで住むことで知られている。ベジタリアンなレストランや、ヨガ、マッサージの店も目に付く。一方で、アドビやグーグルといった世界的IT企業がオフィスを構え、ユニオン湖畔には高級マンションが並ぶヤッピー・タウンでもあるから不思議……いや、これまた必然なのかもしれない。ちなみに、映画「めぐり逢えたら」で、トム・ハンクス演じる主人公が住んでいたボート・ハウス(家として人が住んでいる船)が集まるのも、このユニオン湖だ。
湖に浮かぶボート・ハウス(写真上・左)/道案内にも「The Center of the Universe(宇宙の中心)」のフレーズが(写真右)
アートな祭典も盛ん。毎週日曜にはサンデー・マーケットが開催され、地元アーティストによる工芸品の露店がたくさん出店してにぎわいを見せる。いちばん有名なイベントは、今年も6月に行われたばかりの「フリーモント・フェア」。名物は、裸体にボディー・アートを施した人々による自転車パレードで、初めて見ると目のやり場に困るくらい刺激的! そして、7月には「ゾンビ・ウォーク」と称し、5,000人近くがゾンビの扮装でフリーモントに集合。このうち4,233人が『ギネス・ブック』により正式にカウントされ、イギリスから世界記録を奪還することに成功したばかりだ。
サンデー・マーケットとフリーモント・フェアでパレードを先導するバイカー達
雨がしとしと降る天気から一転、さわやかな青空が続き、観光シーズン真っ只中のシアトル。もし訪れる機会があれば、IT都市とは異なる一面をのぞきに、フリーモントの街にもぜひ立ち寄ってみて欲しい。
(文/ハントシンガー典子)