海外アート事情

2010.05.26

森と共生する巨大コンテンポラリーアート

ブラジル(ベロオリゾンテ)| カテゴリー:オブジェ  デザイン  建築  

ブラジル南東部、ミナスジェライス州の州都、ベロオリゾンテから車で進むこと約1時間。高原の中に突如現れるのが「イニョチン(INHOTIM)」、コンテンポラリーアートスペースだ。美術館というにはスケールが大きく、トロピカルな森林公園に、アート作品が共存する形で展示されている。

森と共生する巨大コンテンポラリーアートのサブ1写真【大】

エリオ・オイティシィカ「Invenção da cor, Penetrável Magic Square # 5, De Luxe, 1977」

この巨大なスペースにある作品を見て回るには丸1日あっても時間が足りない。各展示場へは徒歩で移動するが、まるで植物園を歩いているかのような錯覚に陥る。さまざまな植物、咲きほこる花々。小鳥がさえずり、湖には白鳥が泳ぐ。

企業家、Bernardo Pazが80年代から温めた計画が花開いたのは2005年のこと。ブラジルの首都ブラジリアの設計者であるルシオ・コスタの弟子として有名な造園家、ロバート・ブール・マルクスがスペース設計を担当。環境デザインとしても有名なアートパーク、「イニョチン・コンテンポラリーアートセンター(Inhotim Centro de Arte Contemporânea)」が誕生したのだ。

森と共生する巨大コンテンポラリーアートのサブ2写真【大】

True Rougeギャラリー。

山中にひっそりとたたずむこの「イニョチン」には、ブラジルを代表するコンテンポラリーアーティストの作品が一堂に会している。アドリアナ・ヴァレジョン、エリオ・オイティシィカ、エルネスト・ネト、トゥンガ、スィウド・メイレリス、ヴィック・ムニース。絵画から彫刻、写真、ビデオ、インスタレーションまでさまざまな作品を楽しめる。

森と共生する巨大コンテンポラリーアートのサブ3写真【大】

Valeska Soares 「Folly」(写真上)。/Jarbas Lopes, Troca-Troca, 2002(写真下)。

芝生に置かれたカラフルなビートルも、鏡張りの八角堂も、森の中にあるのと都市の美術館にあるのとでは、まるで別の作品のようだ。自然と共存するかのようにひっそりとたたずむ作品を前にして、まるで自分自身が作品や自然に溶け込んだような感覚に陥る醍醐味がここにはある。

(文/高橋直子)