2010.07.30
深セン市が「文化立市戦略」を発表したのは、2004年3月。中国で最も早く改革開放を実施し、急激な経済躍進を遂げるこの地には、仕事を求めて地方から労働者が押し寄せている。何事も金儲け優先で、「文化砂漠」と皮肉られるこの地域を、「文化都市」に仕立て上げようというのだから、当時は相当な嘲笑を受けたらしい。
その後同市は、劇場を全面改装したり、現代アート美術館や博物館を建設したり、日本の建築家・磯崎新氏が設計したコンサートホールをオープンするなど、計画実現に向けて着実に動いている。


中でも勢いがあるのが、「中国の現代アートを牽引する文化基地を造りたい」と改造されたOCT-LOFT(華僑城創意文化園)である。腕時計などを作る工場が集まっていた工業区を、ニューヨークのソーホー地区に倣って開発。これまでに、中国青年建築士作品展や現代陶芸展などを催し、建築や広告、ファッション、工芸デザインなどを手がける企業を誘致するなど、「文化貴族が集まる場所」と賞されるにふさわしい独特の雰囲気を持ったエリアに成長し、注目を集めている。
2008年4月からは、毎月最終週末に、「創意市集(Idea Mart)」を開いている。個性的でクリエイティブな装飾品や衣類、生活小物などを作る個人に対し、対面販売を目的としたブースを無償で提供。その日は自転車やインラインスケートでのパフォーマンスがあったり、ミニバンドがやってきたりと、手作り感あふれるイベントとなっており、流行に敏感な若者が多く訪れている。個々が創造し、表現することが社会的に難しかった中国が、確実に変化していることを実感できるスポットだ。
OCT-LOFTの開発を手がける「華僑城集団」総裁の陳剣氏は、「国際的にも一流の、活力にあふれる地域に発展させたい」と座談会で意気込みを語っているので、第二期以降の展開に大いに期待したい。
(文・写真/武田千夏)