特集

2010.07.20

佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート

テーマ:トレンド  | カテゴリー:インタラクティブ    展覧会  

『指紋の池』/ユークリッド(佐藤雅彦+桐山孝司)

佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ1写真【大】
  • 佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ1写真【小・左】
  • 佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ1写真【小・右】

「4つの準備」を行った後、来場者が一番最初に出会う作品がこの『指紋の池』だ。これがこの展覧会の始まりであり、旧題「“これもまさしく自分である”展」という積極的肯定の根拠となった作品だという。
指紋採取装置に指を載せると、多数並べられた液晶パネルのひとつに自分の指紋が浮かび上がり、まるでプランクトンのように自由に液晶の海を泳ぎ始める。しばらくすると、自分の指紋が他人の指紋の群れの中に混ざりってしまい、どれが自分の指紋か分からなくなってしまう。
しかし、この作品が面白いのいはここからだ。もう一度装置に指を乗せると、自分の指紋が群れの中から大急ぎで戻ってくるのだが、体験者はそこでそれまで愛着など抱いたことがなかった自分の指紋に初めて愛着に似た感情を抱くという経験をする。
佐藤雅彦氏は、実際にその愛着に似た感情に「これもまさしく自分である」と思い、旧題を思いついたと語っていた。

「金魚が先か、自分が先か」/譜久原尚樹+深谷崇史+佐藤雅彦

佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ2写真【大】
  • 佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ2写真【小・左】
  • 佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ2写真【小・右】

そしてこれ(写真上)が佐藤雅彦氏が展示会タイトルを改めるきっかけとなった体験型作品「金魚が先か、自分が先か」なのだが、是非ともこの作品は前情報を仕入れずに驚きをもって体験してほしい。この作品に対する三宅一生氏をはじめとした多くの体験者のリアクションを見て「属性」という概念そのものに対する考えを改めたというエピソードがある重要作品だ。

事前収集した身長体重の数値を使う「属性の積算」(写真左)、小山田圭吾や椎名林檎といった有名人が使うPCのデスクトップ画面と本人のキャラクターを比較する「頭の中の散らばり方」、文章と音声の自動生成により幼少期のおぼろげな記憶を“捏造”する「新しい過去」(画像右)など、単純にエンターテインメントとして楽しめる作品も多いこの展覧会ではあるが、佐藤雅彦氏が「心構えをして来てほしい」と語るとおり、決してそこでは終わらない(数日後、たくさんの疑問が醸成されている)深みを持った展覧会だったという印象だ。是非とも一度足を運んでみてほしい。

iPhoneアプリ「属性のスイッチ」

佐藤雅彦ディレクション “これも自分と認めざるをえない”展レポート (3/3)のサブ3写真【大】


また、本展覧会において見逃せないのが、21_21 DESIGN SIGHTがリリースしたiPhoneアプリケーション内に収められている参加型コンテンツ「属性のスイッチ」だ。展覧会テーマである「属性」をモチーフにした8つの質問に答えるコンテンツで、この「“これも自分と認めざるをえない”展」に興味を持ったユーザーの属性を明らかにしようというメタ的な試みとなっている。「質問には、1人1回だけ答えることができます」という注記に不思議とドキドキしてしまうのは、リセットできて当たり前な現代の病だろうか?

Information
会期: 2010年7月16日(金) ~ 11月3日(水・祝)
時間: 11:00 - 20:00(入場は19:30まで)
休館日: 火曜日(11月2日は開館)
入場料: 一般¥1,000、大学生¥800、中高生¥500 小学生以下無料
会場: 21_21 DESIGN SIGHT