Title:伊藤若冲筆 雪中雄鶏図
2021/3/4
(せっちゅうゆうけいず) 江戸時代中期 京都 細見美術館
雪の中、餌を探す鶏の朱のとさかや漆黒の尾羽が鮮やかに映える。庭の鶏の写生に励んだという若冲らしく、鶏の羽の重なり具合や足の描写には迫力がある。一方背景の雪をかぶった竹や菊は不思議な感覚でとらえられている。溶けた雪がまた固まったような、奇妙な雪の連なり。ジグザグに折れ曲がる竹。鶏、竹、菊、雪という吉祥の主題を組み合わせながら、従来の作品にはない独自の世界がここに開かれている。 この作品は若冲の比較的早い時期の製作とされる。こうした非現実的な自然景と写実的な動植物の織り成す独特の表現は、のちに精緻を極め、江戸絵画のなかでも比類ない幻想的な作風を完成させた。
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