Title:弓張月
2025/12/21
夕暮れの空に細く弧を描く月が現れた瞬間、時間が静かにほどけていくような感覚になりました。本作「弓張月」は、日が沈んだあとの淡い光と、夜の始まりを告げる月の存在が重なり合う、わずかな移ろいを捉えた作品です。山の稜線や木々の影がシルエットとなって浮かび上がり、自然が持つ静けさと奥行きをそっと示してくれます。空のグラデーションは、昼と夜の境界をやわらかく描き出し、私たちが普段見落としてしまう“静寂の瞬間”をそっと照らしていました。自然の中に身を置くと、言葉では説明できない気配や余韻が心に残ることがあります。この作品では、目に見える風景だけでなく、その背後にある空気の温度や、月が放つわずかな光の揺らぎまで写し取ることを意識しました。
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