Title:とりあえずビール
2025/5/25
生まれて初めてビールを飲んだ瞬間から、美味いっ!と感じた人間なんてほとんどいないと思う。
苦くて臭くて、「こんな不味いもの、大人はどうして美味いと言うんだろう?」と、私も思っていた。
大学生になって日常的にビールを飲むようになってからは、「大人としては、ビールを美味い!っと言いながら飲まねばならん」という義務感のようなものに縛られながら、美味くもない黄色い飲み物を美味いふりをしながら飲み続けていた。
初夏のある日、学生仲間と草野球の試合をした。
カラッと快晴の中で、汗だくになりなりながら走り回り、終わった後はもうヘトヘトでヘロヘロ。
当然のことながら、最後はビールで打ち上げということになる。
熱暴走した体はまだまだ治りきらず、のどはカラカラ。
「カーンパーイ!」の掛け声とともに、ジョッキに入った美味くもないはずの液体を一気に食道へ流し込むと。
「あーっっっ」
う、美味いっ!
苦さは甘さに変わり、変な臭いはアロマに変わり、あんなに不味かったビールが、それまで出会ったことのないスーパードリンクに劇変した瞬間だった。
というわけで、「とりあえずビール」
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