Title:Samuel's Prayer サミュエルの祈り
2024/9/11
子供の頃、枕の下へ忍ばせた最初に抜けた乳歯と交換で、ペレスねずみから、小さな宗教画を貰った。絵柄は「サミュエルの祈り」。巻き髪の少女かと見まごう美しい少年が、天から射してくる光線に、手を合わせて祈る姿だ。
最初の乳歯が抜けるという、人生たった一度の大事件だったため、絵の意味などわからないまま、何十年も大切にしてきた。
ピエールとひなちゃん夫妻の長男ハッちゃんが幼児だった頃、サミュエルにとても似ていたので、神が語りかけてきた状況に、重ねてみた。
すると、描くペンの先から、ハッちゃんは活き活きと猫の神である光線に興味を示し、耳を傾け始めた。そこに現れたのは、素直な目で、神と対話するサミュエルの姿だった。
「話してください。私は聞いています」
その時、初めてこの絵の真意がわかった。私は願いごとばかりに夢中で、見えない声を聞こうとはしていなかった。ハッちゃんは見えない何かの啓示を、聞いている。それから私は猫たちの魂の声を、真剣に聞こうと思った。すると、虹の橋をわたった子たちが、次から次へと現れて、嬉しそうに語り始めたのだ。
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