Title:Try To Remember 9月のようなもの
2024/9/12
9回飛行機で旅したティーは世界を股にかけているようで、ニューヨークと東京目白の往復のみ。
ウィルスが飛来できない上空限界の9階から、イーストリバーを見ていたティーは、友を見つけた。空飛ぶドブネズミといわれるドバトが、来ないここでデートしていたのは、細い首にブルーの稲妻マークを持つ山鳩。ある時、もう一方の街・目白でケクケク音がして目覚める。窓を挟んで、ティーが語り合っていたのは、あの山鳩だった。
遂にやってきた「その時」、人を悲しませないように、万聖節から死者の日に変わる瞬間を選び、ティーは私の胸上で、静かに息を引き取った。病いと戦う、決して平坦ではない生涯だったのに、最期は、柔らかい9月のように緩やかだった。
十数年後、肖像画を描いてほしい、と集まる幻の猫の中にティーがいた。ペンがつるりと動き、川を見る姿が光るように現れる。存命の猫レンがソワソワするので抱き上げ、あの時と同じ体勢になる。「ありがとう」と何かが脳裏に囁いた。
今でも山鳩はティーを訪ねて、窓から覗き込む。
Try to remember the kind of September.
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