Title:In The Bleak Midwinter 極寒の真冬
2024/9/11
猫にとって暖炉は、恋を語る道具でも、ワインを傾ける舞台装置でもない。単なる焚き火。
雪が降り始めると、街から音が消える。19世紀からマンハッタンは、街ごとスチームで温められてきた。旧式のヒーターが金属弁をカタカタ鳴らし、全市民を寒さから守る。
In the bleak midwinter・・すっごい寒い真冬のど真ん中、と歌い出す古いクリスマスの歌。
クリスマスが嫌いだという人は少なくない。極寒の真冬に、外を歩いていると、窓の灯で中の幸せな家族団欒がうかがえ、孤独に苛まれるという。でも団欒とは、真っ只中にあっても儚いものだ。
深夜ミサには、その団欒を失った人が、クリスマスを求めてやって来る。独り身になった人や裕福に着飾る余裕がない人、失うものがなく身軽な人たちは、晴れやかな表情で、「すっごい寒い真冬のど真ん中に、光が射した」と歌っている。
ツリーが買えなくても、ブッシュドノエルが食べられなくても、8ドルあれば、3時間燃える薪が買える。すっごい寒い真冬のど真ん中でも、薪のパチパチ音と、ヒーターのカタカタ音で、人も猫も、心は飛び切り温かい。
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