Title:Portrait As Rembrandtレンブラント風
2024/9/11
猫の肖像画を思い立った動機は、父の肖像画。
心の医師だった父が59歳の時、自分の大学病院で逝った。学士会館に遺す肖像画を描くことになった母は、容赦のない似顔絵の達人。
肖像画は、石膏デッサンをやり過ぎて、芸術の何たるかが、わからなくなった美大受験生のような絵が、大半を占める。
威厳満載の顔色悪い絵に並ぶと、父は今にも「ただいま」と帰って来そうだった。案の定、浮いている。
歴代・教授の皆さんも、サンマは食べるし、お笑いだって見るだろうに。そのままお札や切手になれそうな面持ちでは、本人が見えない。
本来、誰の生涯にも流れる苦楽のドラマは、光となって絵に現れる。ダビンチのジョコンド夫人、レンブラントの妻サスキアと同じように、母は共に生きた夫の魂を、偉業より優先して描いた。
肩書きや形容詞で表さない肖像画を認めるなら、魂の対話で、猫の肖像画も描けると思った。
さあ、レンブラントのように格調高くバロック調で描こう、そう独り言を言うと、モデルさんが、ふと襟を正して、背筋を伸ばしたように見えた。
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