Title:More Light もっと光を・ゲーテ
2024/9/12
ゲーテの最期の言葉だという「もっと光を」。猫は自分の死期がわかる。ゲーテの話をしたら、大いにうなづくだろう。カーテンを開けて、実際の光を入れて欲しかっただけ説には、今生涯を終わろうとする時、そんなつまんないことに、ジタバタしないよ、と笑うに違いない。
猫は、快適で幸せな生涯を全うすることが、生まれてきたことの、目的だと知っている。
将来の夢は?と聞かれて、大統領だの、IT企業の申し子だのと、面倒くさいことを思う猫はいない。
生きとし生けるものが皆、平等に与えられた命の中心、すなわち世界の中心にいることを、よくわかっているからだ。スポットライトに照らされるように、今という瞬間、ここという居場所が、最も心地よいと感じるならば、次の瞬間、新しく素晴らしい「今」がやって来ると心得ている。
いよいよ虹の橋をわたる時、猫は静かに目を閉じる。その時を知っている彼らは、身体にサヨナラを告げ照明を落とす。そしてゲーテのように魂の目で光を追う。More Lightの方向へ。
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